【活動報告】長崎バスティン研究会/論文連載(3)
2010年10月13日(水)
長崎バスティン研究会の研究活動報告を追加しました。
ご感想・お問合せがございましたら、東音企画までお願いします。
♪論文「ピアノ教育におけるバスティン・メソードの有効性」重永洋子
<補遺>本論文の要旨3の詳細
「プレ・レベルにおいて子どもの知的発達が十分に考慮されている」
(前回からの続き)
2.「ピアノパーティ」では、子どもの知的発達の段階に即してどのように
学習が進められているのであろうか。
ブルーナーによると、知的発達の段階は、
〈1〉行動的把握(手や足など身体を直接働かせることによって学ぶ)
〈2〉映像的把握(眼筋を働かせて、視覚的に物事を学ぶ)
〈3〉記号的把握(言語記号によって言い表されたものを認知する)
の3つの段階からなる。
「パーティA」では子どもの知的発達段階の「行動的把握」を考慮して
どのような音楽の学習が進められているのだろう。
「みぎて ひだりて てをたたこう」では、友達と向き合ってリズム通りに
手を叩かせ、歌わせながら右手と左手を教えている。
このようにして「行動的把握」で覚えさせている。
次に「とぼう!もぐろう!」を見てみよう。
「とぼう!もぐろう!」において、ゲンコツで3つの黒鍵上を左手で
ピアノの真ん中から下の方向へ、右手で真ん中から上の方向へ、
歌いながら弾かせる。バスティンは「音が下がる、音が上がる」そして
「低い音、高い音」というピアノ学習において重要な意味を理解させるのに、
子ども自身のゲンコツによって「行動的把握」により認知させている。
「おゆびでおはなし」では、ピアノのふたを閉じて、横棒線で示された
音の長さに応じて、指を動かすことを歌いながら学ばせている。音楽の
重要な要素であるリズムの学習の第一歩として、この様に行動的に学ばせている。
次に第2段階の「映像的把握」による学習はどのように行われているのだろう。
まだ楽譜の読めない子どもに対して、ピアノの鍵盤図を使って以下のように
学習が進められる。
「ピアノパーティA」から見てみよう。
黒鍵上に指番号を書き込みそれを弾かせる。(p.16)
次に指番号と共に音の長さを示す音符を鍵盤上に書き込みそれを弾かせる。(p.26)
次にCDEの音名を鍵盤図にしめす。(p.28)
その後、音符とその数え方が学習されると、次の「ABCのうた」では
鍵盤図に音名と指番号が示され、音符はここで始めて鍵盤図から独立して、
リズムと音程を表す簡易楽譜(プレリーディング譜)として表されている。(p.32)
なお、左手、右手のどちらの手で鍵盤上のどの場所を弾くかは、それぞれ
青色、赤色で書かれた手の図形で示すことにより、視覚的に把握させている。
同様に「パーティB」に於いても鍵盤図を介して、
ステップ(p.9)、スキップ(p.11)、Cの和音(p.15)、Fポジション(p.26)、
グループ?の調(p.32)の学習が進められている。
このように「パーティA」と「パーティB」では、ピアノの学習において
基礎的で重要な音楽内容を鍵盤図によって「映像的」に把握させてピアノ学習が
進められているのである。
続く「パーティC」と「パーティD」においては第3段階の「記号的把握」に基づく
大譜表上によるピアノ学習が進められていく。
ブルーナーの認知心理学理論から「ピアノパーティ」を考察し、
テーマ「プレ・レベルにおいて子どもの知的発達が十分に考慮されている」の
1の項目については教本の学習過程は単純にして強力な基本的主題から与え、
その主題を関連付けて学習が展開されていることを述べ、
2の項目について、学習の進め方は子どもの知的発達段階の
〈1〉行動的把握〈2〉映像的把握〈3〉記号的把握に沿って進められている
ことを指摘した。
このように「ピアノパーティ」にはブルーナーの子どもの知的発達を促す
認知心理学の理論が十分に活かされていた。
「バスティン・ピアノパーティ」は、プレ・レベルの子どもの知的発達が
十分に考慮されていて、ピアノ教本として優れた教本であると言えよう。
♪論文全文を掲載※
長崎県立女子短期大学(現 長崎県立大学)研究紀要43(1995年)
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長崎バスティン研究会のページはこちら
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■□■□■これまでの活動報告■□■□■
・第2回「プレ・レベルにおいて子どもの知的発達が十分に考慮されている」(論文補遺:重永洋子)
・第1回「バスティンメッソッドがピアノ教本として優れているのは何故でしょう」(論文要旨:重永洋子)
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