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【楽譜紹介】第4回連載:マジックフィンガーテクニック Book3               指導ポイントと活用法

2011/03/07(月曜日)

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〔英語版〕
「マジックフィンガーテクニック」Book 3 (700円+税/GP15

連載 第4回「マジックフィンガーテクニック Book3 指導ポイントと活用法」(田中 巳穂)→バックナンバー

今回は最終巻Book 3についてご紹介します。
これまでに学習してきた内容を再確認しながら、1曲1曲の規模が少しだけ大きくなります。

《概要》
Book 3では、生徒のテクニックの自由さを広げることが目標とされています。
本の冒頭、ジェームス先生の言葉に、
「この巻で紹介される指の独立、和音とその転回形、スケール、手首のスタカートは、クラシックのレパートリー学習を始めた生徒にとって、大切な基礎となるものです。
また、左手の重要性も常に意識して、右手と同じように能力を高めていきましょう。」
とあります。
このメッセージが、具体的にどのような方法で表されているかを見ていきたいと思います。

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《内容とポイント、活用法の提案》
ここまでに、旋律的な動き、和音、半音階、重音、指の拡張といったテクニックの内容が紹介されてきました。
この教材のユニークさは、それらの課題が単に運動として扱われるのではなく、子どものイマジネーションに働きかけながら、常に音楽として提供されている点にあると思います。

一度に理想の所まで要求せずに、教材の遊びごころを子どもと楽しみながら、何か1つ2つ努力が見られたらOK、2回目はさらに追求・・と何度も一緒に練習していくうちに、子ども自身が工夫するようになります。(嬉しい瞬間ですね!)
特にBook3では、ゲーム感覚的な要素もありますので、その子どもにとって「遊びになるのか、ストレスになるのか」を見極めて、「ここ変わってるよね、楽しいね」という雰囲気でチャレンジを応援できたら、と思います。

では、Book 3に出て来る10の課題を見ていきしょう。【 】内はユニット課題、タイトルは挟み込みの英訳を一部リニューアルしています。挿し絵とともに、子どもとイメージを広げてみてください。

【p.4?5 スラー】
1. 軽業師

長いスラーと短いスラーの組み合わせです。
5指ポジションの2小節単位の曲で、移調に適しています。

2. ボートで海へ
2音のスラーと、スタカートの組み合わせです。
左右が同じ指使いになっています。

【p.6?7 和音と転回形】
3. なわとび

3拍子に乗って、ブロックコードで転回形を弾いていきます。
この曲の移調は、子どもにとって難しいと思います。機械的にならずに、歌って弾きたいですね。正しい指使いも徹底します。

♪ビデオのSちゃん(小4・ベーシックス経験者)は前週のレッスン時、初見でこのユニット(2曲)を勉強しました。レッスンでは、次の曲(分散和音)を先に弾いてから、こちらを弾いています。今日の目標は、音をイメージして、手がそれに反応できることです。mf-lv3-p6.jpg

4. 航路をさがそう
分散和音?ブロックコードで、次を準備する時間がある分、こちらの方が前曲よりやさしいかもしれません。
手を固定せずに、よく歌って、ゆったりと慣れていきましょう。

♪手と耳でハーモニーを予想してから弾くことをしています。子どもは「弾ける」ことが大好きなので、ついつい速く弾きがちですが、弾けることを認めつつ、徐々に遅いテンポにもっていきます。次回はさらに遅いテンポ(♪=70位)に挑戦してもらいます。
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【p.8?9 指の独立】
5.重たいセメントを持ち上げよう

全部の指で鍵盤を下げて保ちつつ、1本1本動かします。
溶いたセメントの中で、1本1本の指を必死に持ち上げるイメージで、トレーニングします。

6. 水のりのポットの中で
セメントが水糊になりました。押さえる指の数が減り、少し楽かな?と思っても
両手となるとなかなか大変、子どもとワイワイ弾くのが楽しい場面です。

【p.10?11 和音のスタカート】
7. 足をそろえてホッピング

3度のブロックをスタカートで弾いていきます。Book2でも出てきた音価の変化があります。

8. タグボートのけむり
原題はTugboat Puffing で、タグボートの煙突から煙が出ている絵がついています。
大きな空に煙がポッと浮かんでは消えていく感じは、三和音のスタカートを弾いたあとの余韻に似ていますね。

【p.12?13 親指の保続音+4指5指のトリル】
9. 体操しましょう

Book1では5指ポジションで出て来た課題です。
始まりの音程を意識しておくと、次のポジションを見つけやすいです。

10. アップアップ!
左手バージョンです。始まりに主音がない配置なので、耳だけに頼らず手の感覚も必要です。
最後に親指の引き寄せがあります。

【p.14?15 音階】
11. 金魚ばちの中で

親指から始まるスケール練習です。

練習のヒントは、
?親指をくぐらせることを前もってイメージしましょう。
?(休符の間に)次のフレーズを用意しましょう。
?繰り返しはスタカートで。
?テンポを変えて弾いてみましょう。
となっています。

12. 銀色の鮭
小指から始まるスケール練習です。
終わり方は前曲よりこちらの方がやさしいです。

【p.16?17 3度の重音】
13. ダブル・トラブル

二重の困難(両手であること)と、重音(Double)をかけたタイトルです。
隣り合った3度をレガートで弾きましょう。

14. まだまだ続きます
前曲と同じですが、右手の小指側から始まります。
2曲とも5指ポジションなので、移調も可能です。

【p.18?19 半音階】
15. 冬の大ふぶき

両手が反進行(同じ指使い)の半音階です。
音価の変化で、正しいテンポ感も確認します。

16. 松の木を吹く風
左右が交互に半音階の短いフレーズを弾いていきます。
機械的に弾くと難しいので、レッスンでゲーム的に区切って与えてもいいですね。

【p.20?21 6度のスタカート】
17. きつつき

手首のスタカートで、ブロック6度を弾きます。
音符が細かくなっても同じ弾き方が出来る位の「ゆっくり加減」が求められていると思います。

18. この曲は何でしょう
アルプス一万尺のメロディーを左手の伴奏付きで弾きます。
手首スタカートに加えて、2音のフレーズ、和音、音の保続、6度のユニゾン、ポジション移動と盛り沢山な内容です。

【p.22?23 アルベルティバス】
19. ミスター・アルベルティ

?-?-?-?7-?のアルベルティバス+右手のブロックコードの練習です。
「ドソミソに対して、『ボトム?トップ?ミドル?トップ』と言いながら弾きましょう」という指示(練習のヒント)があります。最初は♪=60くらいのイメージでしょうか。

20. アルベルティさんと歌いましょう
アルベルティバス+右手のメロディーです。
レガート、フレージング、スタカート、指返し、ポジション移動、休符、アクセント、そして、両手の音量バランスも指定されています。

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《終わりに》
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
魅力的な教材内容のごく一部しかお伝えできませんでしたが、「音楽表現エクササイズ」としてご紹介できていれば、と思います。

Book 3では、5指ポジションから離れる曲も多く(20曲中13曲)、手の使い方の様々な可能性が示されました。5指ポジションから離れるところを丁寧に扱うと、他のバスティン教材やレパートリー学習にも生きてくるのはご存知の通りです。

各課題の特徴は、短い英語のタイトルに込められていて、その言葉には特有のリズムがあります。そこを汲んで、子どもに何かイメージを呼び覚ませる言葉を・・と自分なりに工夫しましたが、最後は先生方が言葉を沿えて下さると、さらに豊かなものになると思います。

次回最終回で、他教材との併用についてお話ししますが、全調メソードとしての特徴を生かした使い方をご提案したいと思っています。特に、バーナムとは併用の効果が実感していただけると思いますので、またどうぞご覧下さい。


♪次回連載 第5回「マジックフィンガーテクニック 他教材との併用法とその効果」は、3/28頃掲載の予定です。

♪当企画は東音企画の取材によるものです。
 画像・動画等一切の権利は東音企画に所属し、転載は禁じます。
 ご感想・お問合せがございましたら、東音企画までお願いします。

♪執筆者プロフィール  田中 巳穂(たなか みほ)
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東京芸術大学、バンクーバー音楽アカデミー卒業。
第3回ピティナ・ピアノコンペティションE級銀賞(金賞なし)、カナダ音楽コンクールソロ部門第2位、室内楽部門第2位受賞。2000年トヨタ指導者賞受賞。社団法人全日本ピアノ指導者協会正会員。鳴門教育大学・大学院講師。