【インタビュー】熊本美由紀先生(福岡県北九州市)
July 21, 2011
第23回 熊本美由紀先生(福岡県北九州市)
「二人三脚でもっと広がる、ピアノ教室の可能性」
北九州バスティン研究会代表を務める熊本美由紀先生。作曲家・ピアニストであるご主人、熊本陵平氏とご一緒に、音楽教室を経営なさっています。ご結婚されてからますます精力的にピアノ指導、イベント運営に注力される熊本先生にお話を伺いました。
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◆北九州バスティン研究会の活動
2000年1月に立ち上げた北九州バスティン研究会には、現在約15名が所属しており、年間を通して、バスティン教本の勉強会を行なっています。昨年はパーティーシリーズの【聴音・楽典パーティー】を中心に取り上げ、やはり「パーティーA、Bは特に大切」であることを確認し合ったのですが、その際、現場の声として、意外とベーシックスがスムーズに進みづらいことがわかりました。ベーシックスは4冊を使っている会員が多いのですが、4冊を使うことの難しさや、スケールやカデンツなどピアノの基礎が子どもに定着しづらい等の声が出たのです。
これを受けて、今年は「導入期・パーティー?ベーシックスのセオリー」を勉強しています。具体的には、12調の導入(パーティー復習)、メジャー&マイナーのスケール・主要三和音・和声進行・転回形・調号などです。勉強会では、私が会員の皆さんに教本の内容とアプローチの方法をお話し、皆さんがディスカッションをする形で進めます。
私自身、ピアノ・セオリー・パフォーマンス・テクニックの4冊を限られたレッスン時間で、いかに効率よくすすめられるか日々研究中ですが、セオリーに関して言うと、グループレッスンを通じて学ばせることがおすすめです。どのような形(人数・回数・・・)でグループレッスンを持つかは、教室によって事情は様々だと思いますが、グループレッスンで繰り返し楽しく学ばせることが定着の近道ではないかと思っています。
また、スケールやカデンツなどは一覧表を作り、「今、どこまでできているか」を私も、生徒自身も管理するようにしています。普段のレッスンでは教本をすすめたり、舞台の曲を仕上げたりと、なかなかスケールやカデンツだけに時間を割くことが難しいので、「春休み、夏休み、冬休み」の休みごとの課題にして、長期に渡り、じっくりと取り組んでいます。
こういった形で月々の勉強会をメインにしながら、それぞれの会員が参加したセミナーの報告やおすすめの教材などの情報交換を行っている北九州バスティン研究会です。
◆YouTubeオーディション開催?バス研のコンサートへ!
発足して11年目の研究会ですが、「会員の生徒さんがみんな集まって演奏する」というのは、実は昨年3月のYouTubeオーディションが初めてでした。レッスンでおなじみのバスティンの曲なので弾きやすいこと、ビデオ撮影という舞台とは違う緊張感を味わえたこと、終わった後も自分の演奏を映像で確認できること・・・このイベントを通じて、生徒さん、ご家族の皆さんには大変喜んでいただけました。また、このイベントの運営体験は私達にとっても貴重なものとなりました。
この経験を生かして、今年3月27日(日)に、九州・沖縄作曲家協会とコラボレーションして、『春の音楽展2011 IN 北九州「子どもの領域/九州・沖縄の子どもたち」?或る作曲家と子どもたちの対話?』を開催することができました。主人を含め、8名の日本人作曲家の先生が子ども達のために新曲を書き下ろしてくださり、バス研会員の生徒達がソロ・デュオで演奏しました。このコンサートでいちばん良かったのは、
?本番に向けて2回のワークショップを行い、作曲家の先生達が作品に込めた想いを子ども達へ直接伝えてくださったり、対話をしながら丁寧に演奏のアドバイスをくださったりと、とても貴重な体験ができたこと
?コンサート終了後にはレセプションを行い、作曲家の先生・生徒さん・ご家族・指導者の参加者全員で、ジュースで乾杯をし、コンサートの感想を話し、素晴らしい時間をみんなで持てたこと
でした。生徒さん、指導者の多くの感想の中で最も多かったのが、「作曲家がとても近い存在になり、楽譜の大切さを改めて感じ、関わり方が変わった」という意見でした。人と人のつながり、コミュニケーションの大切さを強く感じたコンサートになりました。
◆素晴らしいビジネスパートナーを得て
結婚してから、音楽教室「アプレシオ・アラ・ムジカ音楽スタジオ」を二人で運営しています。私がピアノ導入?初期?中級につなぎ、主人が中級?上級の指導を担当することで、エスカレーター式に教えられるピアノ教室になりました。ピアノを趣味にされる生徒さんも、プロを目指す生徒さんにも通っていただけ、これまでより、縦にも横にも幅広く生徒さんを受け入れられるようになりました。作曲家・演奏家としての話しを主人から聞くことで知識が増え、視野も広がっています。教室を運営する中で、二人でよく話すのが、子ども達がなぜ音楽をやるのか、なぜ舞台で演奏させたいかということです。そして、生徒さんたち達には「自分が演奏することで聴いてくださる方に喜んでもらえる。そのことはとても素晴らしくありがたいこと。だから中途半端でなく真剣にやろう!!」と伝えています。
作曲家の先生方や、演奏家の方とのつながりができたことも私にとって大きなプラスです。前述したようなイベントや、いろいろな可能性が広がっています。その一つに、昨年10月?、教室内に弦部門を設け、ヴァイオリンの生徒さんたちも通っています。そして、ピアノの生徒さんには、毎年の発表会でアンサンブル演奏を行い、他楽器の響きも触れてもらっています。
もう一つに、生徒さんとご家族が参加する教室内行事で「作曲家とお友達になろう」と題し、四期の作曲家を一人ずつ取り上げ、お話&音楽鑑賞会を行なっています。家庭内で共通の話題ができ、音楽の会話が増えて欲しいとの願いから始めたのですが、その願いが少しずつ通じているようです。主人曰く「やっぱり導入初級の指導はとても大事。ピアノを弾くだけでなく、たくさんの言葉かけ、色んな演奏・楽器に触れさせてあげることや、環境づくりで、子どものイメージの幅が広がっていき、それが必ず演奏につながっていく」とのこと。
素晴らしいビジネスパートナーを得て、できること・やりたいことがどんどん増え、さらにアイディアが広がっています。
◆戦場カメラマン 渡部陽一さんの写真+音楽のコラボコンサート
来る7月24日(日)、戦場カメラマン渡部陽一さんをお招きし、写真と音楽のコラボコンサート「戦場と愛、そして音楽」を開催する運びとなりました。(※インタビュー時は開催前)
昨年の今頃、テレビで渡部陽一氏を拝見した際、主人が「渡部さんの語りは音楽的だ」と言ったことがきっかけでした。「コラボレーションしてこんな企画ができないだろうか」とその場で具体的なアイディアを主人が話してくれるので、事務所に電話することをすすめてみたのです。遅い時間でしたし、売り込むような感覚もないまま、所属事務所へお電話しましたら、専務さんがお出になり、ジャーナリストの渡部さんの写真と、音楽のコラボレーションは初めての企画でとても面白い内容だと共感してくださったのです。おかげで、全くつてがあるわけではなく、今回のイベントがスムーズに決まりました。(その際、渡部さんは1年先までスケジュールがびっしり詰まっていましたので、2011年7月24日に決定しました。)
写真と音楽は、心を表現する手段としての共通点があります。今回、「一緒にやってみるとどんなことができるか、面白そう」ということで下記のような3部構成を考えました。全部でたっぷり3時間の内容です。
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・1部
戦場に行っても音楽を携帯される渡部氏。朝はG線上のアリアで目覚め、テンションをあげる時はクイーンを聴くそうです。渡部氏のお話に、ピアノ、ヴァイオリン、サックスの音楽を織り交ぜてお聞きいただきます。
・2部
地元のラジオパーソナリティの方をお迎えしての、クラシック音楽の聴き方ミニ講座です。
楽器の紹介や、楽器の編成など。クラシックはあまりなじみのない方でも興味を持っていただける内容です。
・3部
スクリーンに渡部さんの写真を写し出しながら、戦場での「子ども、愛、女性」をテーマに語っていただきます。併せて、主人、熊本陵平がオリジナル曲を披露します。最後に、渡部さんご自身がブログをあの独特な語りと、即興でつけた演奏をお聴きいただきます。
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◆ゆるぎない指導方針と大切にしたいもの
現在の教室のテーマは「聴く、考える、伝える」を大事にすることです。子ども達の将来の方向性は様々ですが、だからこそピアノが生徒さんの生きる活力の一部になってほしいと願っています。「心を育てたい」、そう思ってレッスンしています。
具体的には、一方的に教えるレッスンではなく、生徒さんが私たちの話をよく聴き、考え、答えをはっきり口で伝えるということです。答えを出すまで待ってあげるので時間はかかってしまいますが、コミュニケーション能力を育むにはとても大切なことだと考えています。また、そのままピアノの演奏に置き換えても全く同じことなので、特に、舞台で演奏するために曲を仕上げていく段階で、このことを大切にして指導しています。
舞台経験といえば、音楽を通して地域の方に還元する「お座敷コンサート」も教室で行っています。生徒さんと主人が演奏し、子供たちには一般の方に聴いてもらえるありがたさを感じてもらっています。足を運んでくださったお客様には、「音楽 + コーヒー + コミュニケーション」をワンコインで味わえるひとときをご提供しています。人とのつながりを大事にしたい思いが強くありますし、皆さんに音楽で喜んでもらえることが何より嬉しいです。
いろんなイベントを企画するというより、やりたいことをやっているという感覚です。主人と二人で話していると、どこまでプライベートでどこまで仕事かがわからない毎日ですが、楽しいです。
研究会やイベントにぜひお越しください。お待ちしています!
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