| バスティン教材、藤原亜津子先生講座受講1年間の感想 幼稚園児でピアノを初めて間もない子にいきなりドレミを弾かせるより、ピアノ演奏を楽にするための手作り指作りを先にたくさんした方が、驚くほど早く楽に弾ける子になります。 この教材は子供の心理と頭と体の発達を考えて作られていますので、とても楽しそうで、一見内容も簡単そうに見えますが、実はこれまで上級レベルで教わってきたのと同じ内容が、初めから遊びなどを通して盛り込まれ、ものすごく奥が深いのです! 生涯音楽を一生の友とし、自力で読めて弾ける子にするためには、入り口をしっかりしておく事がどれだけ大切か教わった1年でした。 2000年12月から小学生と幼児の生徒全員に初めてバスティンを導入し、数ヶ月おきに藤原先生講座を受講して感じて行動した記録です。 ●たかがグッズ・されどグッズ・・・驚きの大発見! 2001年1月大阪集中講座2日間(1月7日、8日) 初めてバスティン講座を2日間受講。 お手玉、ソフトボールを使用して歌いながらの手型つくり、線・間をスキップ読み、などなど目新しくて興味深かったが、幼稚園の先生のようなレッスン形式に抵抗があった。 奥深さを漠然と感じてはいたが、その効果を言われても半信半疑状態。それがどの程度役に立つのか…お手玉なんぞ、私にはできない。と、正直思った。バスティン使用の先生が60人の生徒を発表会でほぼ全員舞台に出して音楽に合わせてお手玉を放ったりつかんだりをさせていらした様子がビデオで発表された時は、少々おかしいんじゃないかと思ってしまった程の抵抗感…。(すみません、意味がわかってなかったので) でも、藤原先生は今第一線で活躍中の若手ピアニストの導入期から中級の基礎固めをされた方である。通常、チェルニー30番よりペースダウンする子が多いのに、ペースアップして、15,6歳で国際コンクールに入賞するほど早期成長を遂げた元門下生達がいるという事は、その基礎固めに何か大きな秘訣があるに違いないから、ダメ元で、しばらくやってみる事にする。 それにしても、超上級レベルを早期に生み出す事もできる導入期レッスンとは、こんなにもイメージとギャップがあるとは思わなかった! 1ヶ月後… フレーズ最後の手首を使って力を抜く事を、バイエル下巻半ば過ぎの"弾ける子"に言葉で言っても、手首から肩へ力が入ってできない。もしや藤原先生の目的は、言ってもわからない普通の子供達に、いかにこの脱力法を身体で覚えさせ、美しく弾ける子に育てるか…という事なのか!と実感。 ●お手玉に秘められた効果とは そこでお手玉とうとう実践… 何の意味があるのか、誰でも出来そうと思った大きなお手玉だったが、幼児に放り投げてつかませる事をさせても、幼児にとっては大変な事で、なかなかできない。 そのくらい、集中力、握力、コントロール力が普通の幼児にはまだないと言う事。 お手玉でその感覚を養えば、ピアノで当たり前に必要な集中力、和音をつかむ力、手首を使っての脱力などさまざまな必要な要素を、言葉で教えて考えさせなくても、遊びながら勝手に身につけさせてしまうという事で、遊びながら上級の奏法につながる 事をさせているとは、いかに子供にとってありがたいことか! 先生にとっても楽になるはず…。 よって、それからお手玉を5個購入。黒なので、大譜表マットに音符代わりの道具として使えて、一石二鳥! 大譜表で線・間の音を飛ばし読みするのが子供達に大ウケ。意外にヘ音記号第1線のGあたりであやふやだった子が多く、"線の音―!GBDF…"と毎回言ってやっていたら、楽しく覚えてくれた。 ●効率的・・・初級レベルの子に刷り込んでいく脱力の指導 7月12日一日集中講座受講(富士市) 1日でパーティーからベーシック全部をざっと説明され、おおよその全体像が見えてくる。 長い響きや長い音符のところで、最初手首を低くして深く打鍵し、すぐ力を抜いて反動で手首をUPさせることを言われていて、こんな事もこんな初級レベルの子に刷り込んでいくとはびっくり。私達の世代は、音楽性があって自然に身についた場合を除き、言葉で示されたのは上級頃だと思うからだ。 30年ほど前の従来の指導なら、行き当たりばったりで「ラーララーはい、よく歌ってー!」くらいなもんだろう。そこで"歌う"とはどうすればいいのかわからず、変に身体を動かして癖をつけてしまう子が多かったのだと思う。 藤原先生の様に、具体的にどんな曲にも応用のきく"旋律を歌わせるテクニック"をわかりやすく説明指導される先生はどの位いらっしゃるだろう。 上級で癖を直すにはよほどの忍耐と努力が必要になってしまうから、初級からこのように教われるとはなんと幸せな事だろうか。 しかし、これまで上級で教わった事を、まだいろいろ未発達な子供に正しく身に付けさせるには、上級レベルとは別のアプローチが必要になる。そのための、お手玉であり、パーティーAのグーモーションがいかに大切かというわけだ。 ●講座は、受ける側の経験や知識によって良くも悪くもなってしまうから不思議 10月11日、2時間講座受講(富士市) 先生には大変失礼だが、正直言ってあまりこれまでのようにこれといったインパクトの感じられない日だった、としばらく思ってしまっていた。(すみません、先生) 私に内容を充分理解するための、良い経験が不足していたから気が付けなかったのだと、後でこの日のビデオを見て気付いた。 それに気付いたのは11月24,25日に茨城県の藤原先生レッスン見学ツアーに参加後、10月のこの講座のビデオを再び見てのこと。 たとえば、この日発表された指番号マット使用法。 正直言って、バスティンはただでさえやる事多いのに、そんなことやってたらぜんぜん進まないし、時間がいくらあっても足りなくなってやってられない!と思った。
しかし、しかし、しかし、BUT!!! ピアノパーティーを始めて、数ヶ月でパーティーBを始めた幼稚園児に、レッスン見学で藤原先生がされていた、机の上でピアノを弾く手の形をして、マットの番号どおり指を動かす事をやってみたところ、全く上がらない指も多々あるのにショック・・・ その後、小学生数人にさせても、なかなか困難である事が判明。 それほど、幼児の身体は未発達なのだ。それでは、いきなりピアノの前に座らされて弾かされれば、動かない指をキーにむりやり押し付ける為に手の形全体がくずれたり、弾けなくて涙したり、かんしゃく起こしても無理はない。 それならばと、譜読みの手伝いをピアノですぐ弾かせるのではなく、藤原先生の様に机の上で新しい譜を広げ、机の上にCポジションの手を置いて、宿題にする譜の指番号を動かす練習を一緒にしてみた。それも、幼児にとっては楽ではない現実…。 この現実を知らない方なら、ピアノですぐ譜読みの手伝いをしないのは手抜きの様に感じるかもしれないが…(実際藤原先生のこの方法を言うと、初めお母様方に「それじゃ親が大変ですね…」と言われ・・)とんでもない、その逆である。 指と指番号を理解する脳の神経が楽につながるまでは、指番号マットを使用したり、新しい譜読みの時に指を動かす練習を、まずは机の上でしてからピアノを練習する方が、後々子供にとっても、変な癖をつけないで楽に上達できるのだと実感した。 (注:2006年現在では、講座の個人的ビデオ撮影は不可の場合が多い。) ●藤原亜津子レッスン見学ツアーで・・・指先が誰も反ってない生徒達を見たときの驚き! レッスン見学会2日間の参加(11月24日、25日) 茨城県竜ヶ崎市の先生御自宅でのレッスン見学会。3日間中、2日間の参加。 朝9時にホテルを出て、9時半頃到着。10時頃から17時頃まで1時間のランチタイム以外ノンストップ。夜の懇親会は大いに盛り上がり、ホテル門限23時ぎりぎりまで先生の御自宅でおしゃべり。翌日また、9時に出て17時頃までレッスン見学。 すごく楽しかったし、なにより先生の講座内容を実際に受けて育った生徒さん達が、先生の指導法の素晴らしさを証明していたと思う。 一番驚いたのは、ピアノを始めて間もない5歳の幼児や、ピアノ中心の生活ではなさそうな普通の生徒さんまで、少なくとも指先が誰も反ってない事。 また先生に甘えすぎず、ニコニコしてきちんと教えを聞いている生徒さん達。一生懸命、レッスン内容をレッスンダイアリーに書き込んでいらしたご父兄方。 どうして、こうなれるの???不思議がいっぱいだった。 私の周りには、幼児は特にレッスン中椅子から降りてすぐ他の遊びをしようとする子、床に寝そべる子、まず集中させる事から大変な場合が多いのに、先生の生徒さんは、"ちゃんと話が聞けている"し、"手の形がいいから宿題の曲がわりと楽に弾けて、最初から高いレベルのことが言える"。 「3,4,5のお指はだんだん短くなっているから、5に向かうにつれて手首使ってキーに重りをのせてあげよう!」とか、その音もっとクリアーに…とか。 先生は特別な子を特に集めているのではないそうで、きっと指導の熱意が父兄に伝わって皆がきちっとできるようになるのかもしれない。 長年の経験から説得力もおありだし、先生から学ぶところは限りなく多いと思う。 とりわけ、同じ期間同じくらいの進み方で、同じ教材を使用した5歳児で先生の生徒さんと私の生徒を比べると、実際に演奏するレベルに何か月分もの差が出てしまっている事の驚き! ご父兄によると、これが先生独自の指導の素晴らしさで、導入期に手や指の遊びや体操をたくさんさせるから、ピアノを弾く段階で通常より楽に弾けるらしい。(これ、本当に重要!) ピアノパーティーBでまだ5線に入ってない始めて5ヶ月の5歳児が、ペダルがんがん使用して、和音のいっぱいつまった"カンタベリー教会"(バスティン)を小指も立ててしっかり指先で弾けるのには本当に驚いた。 ●バスティン教材を生徒に使用・・・その後の変化 バスティンは従来のやり方とはまったく違うアプローチ法のため、私自身どこまで有効か十分理解していなかったので、これまで親御さんへの説得力に欠けていたが、ご父兄にレッスンビデオを見せたらびっくりしてその効果を納得され、一見お遊びのように見えるグッズ使用や手の体操(お屋根体操、グーパー体操)、5指ポジションで弾くハノン代わりの"糸巻き巻き""ジングルベル"などの「指のエアロビ」をよくやってくれるようになった。(いろんな調に移調して遊ぶ) ほかの教材で育った子はこの教材のレべルでは5指をキーに置いたままで弾ける子が少ない。バスティンの5指ポジションのシステムと、講座で教わる「指のエアロビ」は指の力を満遍なく育てるのを助け、「指のエアロビ」は知っている曲を遊びの中で弾きながら、従来の面白くないエチュードを何十曲もやっただけの効果と、移調奏の感覚を身につけてしまえる魔法の遊びだと思う。これで指がしっかりすれば、発表会でも大きな曲に挑戦し易くなり、その効果が出るのが今から楽しみである。 フラッシュカード24枚(大譜表の音23個と真中C重複分1枚) 1秒につき1枚ノンストップで言う遊びも、子供達に大ウケ!のんびりだらしなく言ってた子も、レッスンビデオで同学年の子がスラスラ言えているのにびっくりして一生懸命スピードアップをはかるようになった。 考えなくても見ただけでパッと読めれば、練習量少なくてもすむってことだよ。」と言うと、とたんにやる気を起こしたのはオカシかった。 2重紐つき大きなビーズ…も毎回レッスンで取り入れている。 親指の付け根が陥没するのをなんとか直そうという試みと、指先強化、ひっぱりながら手首を柔らかくするのは指先をしっかりしつつ手首のクッションが使える子になってほしいから。 親指付け根の陥没は、直さないと無意識にその指を避けて別の指を無理やりあてがい、変な指使いの癖を作るモトでもあるし、腕に力が入って和音の響きが硬くなり、スケールや旋律を美しく弾けない原因になるので、毎日このグッズを使って本当に直れば嬉しい。 パーティーでの音名を4分、8分などといいながら読む方法は、音名を簡単に覚えてくれるので、親御さんにも本人にも大好評。 これも1月の講座の頃は、なんとなく抵抗感があったもののひとつ。 某大手音楽教室でドリルを何冊やっても覚えられなかった子が、うちに来てこの方法であっという間に覚えられたのだから、凄い威力である。これは、やらなきゃソンだと思う。 バスティンを使った藤原先生の指導は、自力で弾ける子に育つよう、いかに楽にしっかりした基礎を身につけさせられるか…を本当によく考えておられ、バスティンは愛情のいっぱいつまった教材だといえる。
ただ、今回レッスン見学で同じ教材を同期間使用しても、藤原先生の指導プログラを並行していくと進度がかなり速くなる事を知り、教材に頼るだけでなく、いろんな個性ある子供たち各々のニーズによりこたえられるよう、指導者も常に学び、たくさんの引き出しを用意しておく必要があると感じている。 ●
バイエル等から移行した場合の親の反響と生徒の成果 バイエル下巻程度の従来の教材から移った子の多くは、ベーシックス1のピアノ1・テクニック1・セオリー1を3冊と、バイエル等初級教材あるいはブルグミュラーを並行してスタート。 バイエル下巻の終わりでも、なぜベーシックス1からするのか(本当はパーティー からのほうがもっといいらしい)、簡単に見えるのでショックな方も多いが、私の場合は「本当に力がついているなら、すぐ進めるので好きなだけやってきて下さい。内容の奥が深いこのシステムを始めからしっかり身に着けて中級へ進んだほうが、後で絶対楽になりますよ」という事にしている。 ただし、同じ調のものをそれぞれ選んで併用する事に気をつけた。大きな目的のひとつに、調の感覚を身に付ける事があるので。(いろいろなやり方があると思うのであくまでも一つの例としていただきたいが、うちでは1週間の目標は、できれば同じ調のピアノ4ページとテクニック2ぺージ。パーティーをやった藤原先生の生徒さんはレベル1を1,2か月で終わるそうだが、パーティーやってないとこれくらいが精一杯の子がほとんどだった。) バイエル等従来の教材にこだわる方で、練習量が少ない子は、従来の教材からバスティンと同じ調の曲を抜粋で併用。 同じく従来の教材信仰派で、練習量多い子は、初見の練習とコードを覚えるために両方やろう!と誘ってすべて併用。 練習量が普通で、従来の教材にこだわらない方は、バスティンベーシックスと名曲集1や音階の曲集(ドレミ出版;夏目芳徳著)を、調を合わせて併用。 新しい幼稚園児や小学校低学年の生徒はピアノパーティーAからスタート。 テクニック1で手の癖を直し、全ての指をキーに乗せて弾けるようになり、大譜表マットで例の遊びを身につけてからは、楽譜から目を離さないで弾く事を嫌がらないでできる子が増えてきたように思う。 小学生と幼稚園児の生徒全員にバスティンを導入した2000年12月は、父兄から多くの不安からバッシングが出た。バイエルで育った世代だから同じ教材だと安心なのか、「バイエルは基本ですからバイエル優先にさせてください!」などと言われた。(現在も希望者には併用しているし、いろんなメリットはもちろんある。) 私もそれで育ったから、その方が教えるのも楽だったのだが、現代っ子は昔の子のように忍耐を続けられないし、いまや日本にバイエルを伝えてくれたヨーロッパでもバイエルの教材は忘れ去られ、子供の心理とより効率的な学習を考えられた教材が全世界でどんどん出てきているのだから、それを利用した方がどれだけこの先、子供達が助かるか父兄に訴え続けた。 そのかいあって、これまでは泣かせながら無理やりバイエル等を練習させなくてはならなかった父兄が数週間たつと、「バスティンなら音符が大きく、自分で見ようという気になってくれる」「子供がバイエルより楽しいって言う。これならやる気になるようです。」と喜ぶようになり、1年経ってみると「もう一人で勝手にやってくれるようになった。親にとっても楽だし、私が小1の頃ではこんな曲を一人で読んで弾けなかったから、バスティンさまさまですね!」の声がほとんどになってホッとしている。 始めた頃は、ブルグミュラーに入ったばかりの子にバイエル終了レベルより、はるかに簡単そうに見えるベーシックスのテクニック1を"初見の練習のつもりで…"と与えても、指の力より腕の力で弾いていた為か、白鍵に5指全てを乗せて弾くことさえもできずに、ショックを受けたケースが多かった。 (他教材の多くは、5指をキーに全てのせて弾く事を特にシステム的には学ばない為、満遍なく指が育っていないからと思われるが、その場合は指のエアロビで「糸巻き巻き」など、たくさん遊んでもらうと入りやすいと思う。) 小1頃では、従来の教材やドリルを数年やっていても、未だに左右が認識できていなかったり、鍵盤のしくみや上がる下がるがあいまいだったり、楽譜の音符と鍵盤の位置がわかっていなかったり、本人もはっきりしてなくて間違った事を練習してきてしまうので、パーティーAの必要箇所を抜粋で教えたりもした。 バスティンベーシックスは音符が大きく、絵もたくさん入っていて簡単に見えるが、各所でかなり難しい事も要求されている。左右違う事"右はレガート、左は切る"なども、なかなか慣れるまで大変な子もいた。慣れればいちいち言わなくても出来るようになったので、指導者もどんどん楽になる。 結婚前に受験生(中、高生)ばかり教えていた頃、生徒のそういう長年の癖をとるのにどれだけ手間暇がかかった事だろうか。本人もこれまでに、どれだけ間違った無駄な時間を過ごしてきた事か。いかに導入期指導が大切か実感するゆえんだ。 関節の弱い子や、指と頭の神経がパッと直結しにくい子は、同じ学年で同じ練習量でもたくさん進めない子が多い。 楽しみながら弾ける子を育てるには、考えずにパッと音符が読めるようになる為の訓練がいかに大切か、また指作り手作りがいかに大切かを認識させられた1年だった。 2001年12月 吉澤実佐子
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